- 文化・歴史
スルー厳禁!大阪メトロの駅は歴史的建造物
大阪市内はもちろん、私鉄との相互乗り入れで近郊都市まで走る大阪メトロ。なかでもキタの中心である梅田とミナミのなんぱを結ぶ御堂筋線は乗降客の多さで知られています。梅田やなんば、心斎橋などの繁華街にも近く、新幹線が停車する新大阪に行くのにも便利であることから、訪日観光客にも馴染みがある路線でしょう。
そんな大阪メトロ御堂筋線の駅のいくつかは、歴史的価値が高く「土木遺産」として指定されているものがいくつかあります。今回は、大阪の歴史を伝える地下鉄の駅について紹介します。
大阪が日本一の都市だった「大大阪時代」の空気が残る駅
まず、大阪メトロの歴史について簡単に紹介します。
大阪メトロ御堂筋線の開業は1933年。当時は大阪市営の地下鉄でした。開通した区間は梅田~心斎橋間で、公営としては日本初の地下鉄です。なお、開通当時は御堂筋線ではなく「1号線」と呼ばれていました。
当時、大阪は「大大阪時代(だいおおさかじだい)」と呼ばれる時代を迎えていました。1923年に起きた関東大震災の被災者が多く大阪に避難してきたことから人口は急増。周辺の街や村を合併し、日本一の市へと成長した時代です。世界的に見ても6番目に人口が多い都市で、街は活気にあふれていました。
大阪メトロ御堂筋線の駅には、そんな時代の華やかさが残っているように感じられます。
心斎橋駅では、柱の銘板に注目!
心斎橋駅は残念ながら現在改装工事中(2020年3月現在)。工事用の柱が多く建てられているため、構内の雰囲気は伝わりにくいかもしれません。
大きなドーム状の天井と、シャンデリア風の照明が印象的です。乗客の身長から見ても、天井の高さがどれくらいか伺えます。
ホームの案内柱をよく見ると、土木遺産に認定されていることを示す銘板があります。
心斎橋駅は、心斎橋筋商店街やアメリカ村、戎橋などの繁華街に近い駅です。ショッピングに行くときなどに利用する人も多いでしょう。この駅を利用したときは、ぜひ柱の銘板を探してみてください。
ビジネス街に近い本町駅では、アーチ型の天井に注目
心斎橋駅のひとつ北の駅、本町駅。この駅は中央部分がやや低い構造をしています。さらに、心斎橋駅の柱が天井まで届かない案内柱だったのに対し、この駅は天井まで届く柱になっています。
天井がやや低いといっても、階段の上から見ると十二分に高さがあるのがわかります、壁や天井の白さが加わって、明るい開放感があるのが特徴。
本町駅周辺はビジネス街。また、大阪港、弁天町、天保山などに便利な大阪メトロ中央線および住之江公園方面に便利な四つ橋線との乗り継ぎ駅でもあります。
淀屋橋駅のドーム天井とシャンデリアは必見
最後に、淀屋橋駅を紹介します。この駅も天井が非常に高いのが特徴です。本町駅と違ってこちらは壁や天井の色はやや暗いのですが、そのぶん落ち着いた雰囲気が漂います。
天井から下がるシャンデリアは建設当時とは違うものに変わっていますが、ユニークなデザインで必見。
淀屋橋駅周辺には、中之島公園などの観光スポットがあります。また、中央公会堂や北浜レトロビルヂングなどのレトロな雰囲気の建物も近く、日本のちょっと古い建物を楽しみながら街歩きをするのに良い場所でもあります。このほか、京都方面に向かう私鉄の京阪電車との乗り継ぎも便利。乗り継ぎや観光で利用の際には、ちょっと天井を見上げてみてくださいね。
大阪の大動脈の歴史を感じてみませんか?
開業から80年以上経った今も、大阪メトロ御堂筋線は大阪市の大動脈として日々多くの利用客を運んでいます。訪日観光客の方も、おそらく滞在中に1度は利用する機会があるでしょう。地下鉄の駅は、降りたらすぐ改札を出ていきたくなりますが、ちょっと立ち止まって周囲を見渡してみると、大阪の歴史を感じられるかもしれません。